グリマルディの呪いとは?モナコ公家の不思議な話

王妃(世界史)

※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

※当記事は各種書籍・史料を参考に作成していますが、最新の研究で否定された内容など誤った情報を含んでいる可能性もあります。それを踏まえてお読みくださいませ。

最近、モナコ公国の公妃・シャルレ―ヌ妃とモナコ公アルベール2世が離婚危機にあるのでは?と噂されています。アルベール2世は私生児が3人いるなど、女性関係が華やかなことや、シャルレ―ヌ妃が長期療養を行っておりモナコ公国を離れていることなどから、そのように噂されているようですね。

そんなモナコ公家・グリマルディ家には「グリマルディの呪い」なるものがあるのだとか。本当にグリマルディの呪いはあるのでしょうか?気になったので調べてみました。

グリマルディの呪いとは?

モナコ公家・グリマルディ家は、もともとはイタリアの都市国家・ジェノヴァの貴族の家系でした。グリマルディ家初代・フランソワ(フランチェスコ)は、フランシスコ会の修道士に扮して、ギベリン(皇帝派)によって支配されていたモナコの岩を占領します。しかし、フランソワの支配は長続きせず、4年ほどでジェノヴァにふたたびモナコの岩は奪い返されてしまいます。

その後フランソワは亡くなってしまいますが、フランソワの従兄弟で妻の連れ子でもあるレーニエ(カーニュ侯レーニエ1世)によりモナコの領有権をめぐるジェノヴァとの戦いは引き継がれ、約100年後の1419年、モナコはふたたびグリマルディ家の支配下におかれるようになりました。

そしてグリマルディの呪いのきっかけになったのは初代フランソワの義理の息子・レーニエ1世でした。このレーニエ1世、そうとうな女好きだったらしく、若く美しい女性を見れば手当たり次第にものにしていたそうです。その中の一人の女性がレーニエ1世を恨み、魔女となってレーニエ1世を呪いました。「グリマルディ家の末代に至るまで、皆幸せな結婚はできまい」……と。

グリマルディ家の呪いは本当なのか?

さて、伝説的な話ではありますが、グリマルディ家ははたしてみな不幸な結婚ばかりだったのでしょうか。分かる範囲で調べてみます。

レーニエ1世の子孫、初代モナコ公オノレ2世はミラノ貴族の娘イッポーリタ・トリヴルツィオと結婚しています。この結婚が不幸なものだったかはよく分かりません。

次代のモナコ公、ルイ1世はフランスの公爵令嬢、カトリーヌ・シャルロット・ド・グラモンと結婚しています。夫婦仲については特に不仲であったとは言われていないようですが、ルイ1世は息子アントワーヌ1世の妻のアルマニャック伯女マリーとスキャンダル?があったため、もしかしたらいろいろあったのかもしれませんね。

アントワーヌ1世はフランスの上級貴族・アルマニャック伯の娘マリーと結婚します。マリーはスキャンダラスな一面もあったようで、舅のルイ1世から誘惑されたと暴露したこともあったようです。晩年にはアントワーヌは何人かの女性との間に庶子を儲けたようで、家庭内別居の状況にあったようです。

アントワーヌ1世の娘、モナコ女公ルイーズ=イポリットは、ジャック・ド・ゴワイヨン・ド・マティニョン(のちにジャック1世としてモナコを統治)と結婚しますが、この結婚生活はジャックが多くの愛人を持ったため不幸なものだったと言われています。

さらにルイーズとジャックの息子、オノレ3世も結婚生活はあまり良好なものではありませんでした。妻マリー・カトリーヌ・ブリニョールは結婚後にフランス王族のコンデ公と不倫関係になり、最終的にオノレ3世と離婚します。

オノレ3世の息子、オノレ4世も妻のルイーズ・ドーモンとは不仲で20年の結婚生活ののちに離婚しました。

オノレ4世の後継者、オノレ5世は人嫌いもあってか生涯独身でした。(恋人との間に庶子はいました。)

オノレ5世の弟、フロレスタンは低い身分ながらも裕福なブルジョワ女性、カロリーヌ・ジベールと結婚します。オノレ4世や5世にはかなり結婚を反対されていたようですが、この二人の結婚は恋愛結婚だったこともあり、不仲ではなかったようですね。カロリーヌは賢女としても知られ、モナコのカジノ経営はカロリーヌの立案によるものだったと言われています。

フロレスタンの息子、シャルル3世はベルギー貴族のアントワネット・ド・メロードと結婚します。前述のカジノは、アントワネットの持参金を元手に作られたそうです。アントワネットは早世しますが、シャルル3世は再婚していないため、それなりに幸せな結婚だったのではないでしょうか。

シャルル3世の息子、アルベール1世は2度結婚しています。1度目はイギリス・スコットランド貴族のメアリー・ヴィクトリア・ダグラス=ハミルトンと結婚していますが、この女性とは早々と離婚してしまいます。メアリーは後にハンガリー貴族と再婚しています。アルベール1世はその後アメリカ出身で、フランスのリシュリュー公の妻であったアリス・エーヌと再婚します。アリスとは離婚しませんでしたが、結婚して10年ほどたつと別居していたようです。

アルベール1世の息子、ルイ2世は晩年に元女優のジスレーヌ・ドマンジュと結婚しています。ただルイ2世はその3年後に亡くなっています。

ルイ2世の孫であるレーニエ3世は女優グレース・ケリーを妻としたことで知られていますね。グレース・ケリーもロイヤルの生活でいろいろと苦労したようですが、この二人は離婚することなく終生添い遂げ、3人の子供を儲けています。レーニエ3世の息子が、現モナコ公アルベール2世です。

こうしてみると確かに別居している、離婚している率が高いような気はしますね!ただ何人かは離婚せず、おそらく平穏?な家庭生活を送っているような印象です。フランス革命前は、貴族の間で結婚後に妻も夫も恋人を持つということがメジャーだったりもするので、現代的な倫理観で語ってはいけない部分もあるような気がします。

グリマルディの呪いが本当にあるのかどうか?皆さんはどう思いますか?

タイトルとURLをコピーしました